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サラリーマンという生き方(後編)


(続きです)通したい案件があるときに、あふれる才能をもって決裁者を論破しにかかるようなタイプは一般的に出世からは縁遠いと思います。こんなときは、根回しの段階でアドバイスが欲しいと言って甘えておいて、オッサンに気持ちよく喋らせてガス抜きしつつ、「頂いたご指摘の通りやったらうまく行きました(ニッコリ)」ってな感じで進めていくセンスが、企業戦士として生き抜くための必須スキルです。

 

★★★

 

ちなみに筆者は運よくこういうセンスが人よりあったようで、大企業生活は楽しんで取り組むことができていた様に思います。自然と身に付いていたので、あまり体系的に整理して一般化したことがなかったのですが、どうやらこの手のスキルは時代に関係なく普遍性を持つようで、歴史を遡るとまさにお手本というべきキレッキレの偉人がいたのです。

 

秀吉 

 

はい、草鞋取りから天下人になった豊臣秀吉ですね。現代日本風に解釈すれば、高卒から首相の座に上り詰めたという感じでしょうか。いやー、マンガですね。ちょっと盛りすぎじゃないですか?さすがに主人公補正入り過ぎ、ってあれ、こんな経歴の人、最近もいたような。

 

角栄【出所:Wikipedia】

 

そう、田中角栄総理です。筆者はリアルタイムで田中角栄を経験している世代ではないですが、成し遂げた偉業の質や、そのプロセスは太閤秀吉と奇妙なほど共通していることが分かりました。両者に共通する成分に、筆者自身の経験も交えながら、サラリーマンに必須なソフトスキルを3つに絞って考察してみたいと思います。

 

 

1.まずは顧客を定義する力

 

サラリーマンにとっての顧客は誰なのか、ということをまずクリアにしなければなりません。取引先、仕入先、色々ありますが、最も重要な客はあなたの上司です。業績を上げても給与には直結しませんが、年度評価が上がれば確実にボーナスは上がります。ビジネスの世界では、あなたにお金をもたらしてくれる人がお客様です。


ここで重要なのは、優良顧客とは将来出世する蓋然性の高い上司である、ということです。バイアウト投資でいの一番に行う構造改革は、収益性の低い取引や不採算の店舗を捨てることですが、簡単なようで意外とこれができない会社は多いです。おそらくこれは、行動経済学で言うところのEndowment Effect(既に所与となっている価値の低いアセットを過大評価する、それを捨て、より収益率の高いアセットへの入れ替えを嫌がるバイアス)による本能的な行動が影響しているのでしょう。

 

出世する見込みのない上司は客ではありません。さっさと見切って、ポートフォリオの入れ替えを実行すべきです。秀吉は信長を、田中角栄は吉田茂を、キャリアのスタート時点からターゲットに定めているのは示唆に富んでいます。これには多少運もあるでしょうが、偉くなる人の共通点は、まずは偉くなりそうな人を嗅ぎ分ける能力が高いという点にあると思います。



2.甘え上手とGivers Gainの精神

秀吉は本能寺の変の直前、中国攻めを敢行中でした。当時戦国No2の勢力だった毛利家をたった一人で降伏させる寸前まで来ていたのですね。これは、とんでもない大手柄です。企業でいうと、社運をかけたM&Aを成功させて、役員への切符が約束された瞬間でしょう。この時とった秀吉の行動に筆者は震えました。


秀吉「信長様、毛利攻めに苦戦しております。ここが勝負の分かれ目です。信長様のご出陣を検討下さい」

信長「やれやれ、ハゲネズミめ。なかなか頑張っていたが、最後はワシがおらんとダメなのか。」

 

 

これは、単独で十分に毛利を落とせたはずの秀吉が、手柄の大きさ故に将来信長に警戒されてしまうことを恐れ、最後の華を信長に持たせることを企図したと言われています。

最高です。スマートすぎて痺れます。こういう直感に反する行動は常に正しいのです。


 

営業の極意は、Give Give Giveして最後にTakeです。まずは客を儲けさせないと大きな商売は取れません。角栄もそうですが、単なるゴマすりのオベンチャラで出世したのではないことは留意すべきですね。客に尽くして客に甘える、Givers Gainの精神で仕事に臨めるマインドセットは偉くなる人の共通点と言えるでしょう。



3.下への気遣い

 

田中角栄は、とにかく人の名前と経歴を記憶するのが得意だったと言われています。若手の官僚と廊下ですれ違いざま、『おう、○野△夫君。□月×日は結婚記念日じゃないのか。こんど一度、奥さんを連れて目白のほうに遊びに来いや』みたいなことを言っていたそうです。

 

上2つができても、3番目ができない人、実は結構多いのです。これがなぜ重要かは、マネジメントの立場になって考えてみるとよく分かると思います。優秀なマネージャーであればあるほど、ビジネスはレバレッジを効かさないと儲からないことを知っています。上ばかり見ていて下がついて来ないヒラメ社員は、部下の力という人的レバレッジが効かないため、結局は成果を出せない傾向が強い。任命責任を考えると、こういう人は最後で重要なポストを任せる決断の障害になります。余談ですがPEファンドが投資先の社長を選ぶ際も、この辺りは非常に重視します。下から慕われている人物というのは、たとえ彼自身の能力が低かろうが、重要なポストに据える際はリスクが低く、結果が予測しやすい人材なのです。

 

秀吉も角栄も、能力や上の取り込み力もさることながら、筆者はこの点が最も大きかったように感じています。


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 ★★★

 

MBAのアカデミズムとしての価値は、優れた企業のベストプラクティスを一般化して、他に転用できるようなモデルを構築することにありますが、経営者目線の話なので多くのサラリーマンにとって、少なくとも明日から使える類のものではありません。

 

それに対し、本エントリーでご紹介したような、歴史上の上手い人のやり口を研究することは、もっとプラグマティックなツールとして深堀りする余地があるかもしれません。個人的に非常に興味があるので、スゴイ人のスゴイ処世術は引き続き研究を重ねてみようっと。

 

今日のところはこの辺で。そんじゃねー。

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プロフィール

alphalifehacker

Author:alphalifehacker
  
腐ったこの国を買い叩くためハゲタカ阿修羅道に足を踏み入れた、元PEファンドのファンドマネージャー。更にその前は商社マン。

「お金を稼ぐことはいけないことでしょうか?」

いいえ、お金に罪はありません。ありません、が、数々のビジネスを経験してきた筆者のたどり着いた1つ答えは、富裕層と呼ばれるまでの財を成した人は例外なく”ワルい”ことをしているということ。

社会の裏側・お金と人間の悲喜こもごもをこの目で見てきた筆者の体験をもとに、エコノミック不良(ワル)と無辜な庶民はどこが違うのか、実生活に役立つ形に解釈し直し、発信して参ります。

このサイトに来ると少し賢く生きることができるかもしれない、アルファライフハッカーのブログです。

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