記事一覧

営業2.0 デジタル時代に必要な営業力とは!?

ビジネスにおける日常的なコミュニケーション手段が電話・FAXから電子メールとなり、最近はそれすら古くなって、Slackなどのチャットツールも勢力を伸ばしています。

 

同じく会議の場のデジタル化もどんどん進み、Skype等を使えば、物理的に移動する必要がなくなり、先日乗ったタクシーの車内では、「営業を足で稼ぐ時代はもう古い、これからはデスクトップでスマートに営業」といったCMを目にしました。


 OLD営業


この流れは不可逆で、コミュニケーションに要するコストは今後も上がることは考えにくく、情報の共有にかかる時間も更に減っていくでしょう。実際、日本人の労働時間は減っている傾向にはあるようです。(パートタイマーの比率が上がっていたり、そもそも統計データが信用できなかったりという問題はあるが)

 

 

コミュニケーションコストが減少し、浮いた時間が何か別のものを生み出すために使われたとすると、アウトプットの総量(GDP或いは一人当たりGDP)は増えても良さそうなものですが、皆さんご承知の通り我が国の経済規模はずーっと横ばいで推移しており、生産性改善で浮いた時間は専ら労働時間の削減の方に充てられたと解釈すべきなのでしょう。

 

労働時間 

 

本エントリーの主題とは逸れますが、諸外国と比べ日本経済だけがIT化で生産性が上がっていないのは、かつての日本の経済成長はサービス残業という無償のリソース提供によってかなりの部分が支えられていたのではないか?、IT導入で浮いた時間はサービス残業という地下経済が減ることに充てられただけで、前向きな時間は増えてないのでは?、と思えてきます。(この点はいつか詳細に分析してみたい)

 

 

さて、ではSlackでコンタクトして、面談はSkypeでやって、その後のCRMはSalesforceで管理みたいな、新手のツールをガンガン使いこなせるみたいな人達が営業2.0でこれからの主役になるのか、というと筆者は少し違った感覚を持っています。なぜなら、高付加価値な営業職では、今こそ昔ながらの顧客コミュニケーションに目を向けることで、クロージング確率は上がるのではないかと考えているからです。

 

 

営業とはインテリジェンスとアートの総合芸術だと以前から申し上げていますが、今回の話はアートの部分の重要性であり、それはデジタルの極致とは対極にあるセンスが求められるのではないか、と言うことかもしれません。

 


デジタルマーケティングの世界で起こったこと



GoogleFacebookの登場によって、広告業界の主役がTVなどのマスメディアから、ターゲットを絞って打てるWebメディアに移ったことは論を待ちませんが、Webを活用したデジタルマーケティングが最も画期的だった点の1つは、効果測定が定量的に行えるという性質によります。

 

即ち、TVや新聞といったオールドメディアでは、視聴率や発行部数という曖昧な指標でしか顧客へのリーチが観測できなかったのに対し、Web広告では閲覧数/クリック数(インプレッション)や閲覧から購買に移行する割合(コンバージョン)が丸見えになることで、マーケティングの戦略を格段に高度化させることが可能になりました。

 


要はオールドメディアの広告の効果というのは“業界人”の言いなりで、本当に売上が上がるのか、或いは売上が上がったとしてそれは広告の効果だったのか、を判別する手段はなく、プラットフォーマーの言い値で、当たるも八卦当たらぬも八卦の博打を打っていたに等しかったわけです。

 

博打だったマーケティング効果が見える化されるというメリットはクライアントにとっては非常に大きく(特に、広告予算の社内説明の意味で)、ここ10年で一気にWeb広告が広がると同時に、オールドメディアの情報非対称性は破壊され、新聞をはじめ紙媒体などは瀕死の状態に追い込まれています。

 

 


インプレッションとコンバージョンの観点で考える昭和な営業

 


さて、デジタルマーケティングがビジネスにもたらした効用は、これまでCMプランナーやコピーライターの属人的な“雰囲気作り”に頼っていたマーケの世界に、インプレッションやコンバージョンという定量的なKPIを持ち込んだことにあると思います。

 

これまでは、予算の枠しかコントロールできる数字がなかったところに、誰がどれぐらい興味を持ったか、どれくらい顧客獲得につながったかが分かるようになったものですから、PEファンドが得意とするような、ロジックの確立された経営改善の手法がマーケティングの世界でもフィットするようになったのです。

 


しかし昨今少し違和感を覚えるのは、デジタルが絶対的な正義として振りかざされる余り、「インプレッションとコンバージョンを管理する」という目的よりも、「デジタルで対処する」という手段の方ばかりが注目されているのではないか、ということです。

 


Web広告の世界も、シンプルにリスティングやディスプレイ広告に始まったものに、動画が加わってきたり、リターゲティングの手法が洗練されてきたり、インプレッション/コンバージョンを上げるために日夜フロンティアが開拓されているものの、当然ながら手の届く果実から刈り取られていくのがビジネスの世界の常ですから、限界的な費用対効果は減少してきていると感じています。


 

こうなってくると、紙のDMを送ったり、直接電話したり、戸別訪問したりといった古臭い顧客コミュニケーションは、どこかのタイミングでその効果がWeb広告に拮抗してくるはずです。もちろん、効果測定に難があるのは変わりないため、Apples to Applesな比較は今後も困難だと思うのですが、数字で測れないからこそ、「職人芸」的なスキルは、ストライクゾーンが狭まった世界で輝きを増してくるのではないか、と思うのです。


 

 

マーケだけでなく、あらゆるコミュニケーションでこれは言える

 


要するに、コミュニケーションの究極の目的は、人に対して「提案を聞かせて」(=インプレッション)、「望む結果を起こす」(=コンバージョン)ですから、これをより少ないコストで達成できれば良いわけです。

 

マスマーケティングではWebを使った方がコミュニケーションコストは下がるので正当化されますし、大量に重要度の低いコミュニケーションが発生するような社内業務では、メールやSkypeを使った方が良いはずです。

 


しかし、少数の意思決定者に大きな意思決定をさせる必要のある仕事、(例えば不動産の売買とか、新規ビジネスを始めるのに社長を納得させるとか、etc.)では、メール一本で任務完了とはならないはずです。まず間違いなく、対面で説明するプロセスが必要ですし、紙の資料で補足した方がプラスに働くでしょう。

 

これの意味するところをデジタルの文脈で解釈すれば、「メールよりも紙の方がインプレッション効果が高く」、「Web会議よりも対面説明の方がコンバージョンレートが高い」ということなのではないでしょうか。

 


実際、マーケティングの世界では、E-メールの低い開封率を考慮すると、実は紙のDMの方が効果が高いのではないか、という議論が始まりだしていますし、筆者のセンスだと、ただの紙よりも手書きの方がインプレッション効果は大きく、帰れと言われても訪問してくるモーレツ営業マンの方がコンバージョンレートは高いと思います。

 

 

つまり、伝説と謳われる”野村の事法2部”の毛筆の果たし状送ったり、夜討ち朝駆けで突撃したりするマンガみたいなゴリゴリ営業は、M&Aという高額商品で少数の意思決定者にアプローチする手法としては理に適っているかもしれません。ヒョロガリ達がMac Book片手にオサレなチャットしてたんじゃあ解決しない問題というのは世の中に沢山あり、ハイスペックな仕事であればあるほど、(激減している)アナログなコミュニケーション能力が差別化要因になってくるというわけです。

 

 

★★★

 

 

コミュニケーションツールの進化は人類に多くの時間をもたらしましたが、浮いた時間でより生産性の高いことをやっているかというと、多くの人はそうでもないんです。

 

そして、アポの取りづらい地位の高い人/やんごと無い人も、同様に昔よりは相対的に時間ができていて、重要でない案件で人に会う時間というのは増えているかもしれませんね。逆に言うと、営業には”手間がかかってコスト高だがインプレッションの高い活動”に手間を費やす余裕が与えられており、手書きの手紙をしたためてみたり、用もないのにお茶を飲みに行ったりできるはずで、実はこういうのが、デジタル時代の生産性の高い仕事って言えるんじゃないでしょうか。

 


筆者は、コミュニケーションツールの進化がもたらす未来の営業2.0は、実はド・アナログのコミュニケーション能力の磨き込みだった、という逆説的な姿になっている可能性が少なからず存在していると思います。


さあみんな、Let’sドブ板。そんじゃねー。


 

スポンサードリンク

↓Twitterでフォロー↓

プロフィール

alphalifehacker

Author:alphalifehacker
  
腐ったこの国を買い叩くためハゲタカ阿修羅道に足を踏み入れた、元PEファンドのファンドマネージャー。更にその前は商社マン。

「お金を稼ぐことはいけないことでしょうか?」

いいえ、お金に罪はありません。ありません、が、数々のビジネスを経験してきた筆者のたどり着いた1つ答えは、富裕層と呼ばれるまでの財を成した人は例外なく”ワルい”ことをしているということ。

社会の裏側・お金と人間の悲喜こもごもをこの目で見てきた筆者の体験をもとに、エコノミック不良(ワル)と無辜な庶民はどこが違うのか、実生活に役立つ形に解釈し直し、発信して参ります。

このサイトに来ると少し賢く生きることができるかもしれない、アルファライフハッカーのブログです。

Current Tweets

Amazon Link