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情弱ビジネスにハマる心理

一部の界隈で大盛り上がりを見せていた脱サラを煽るサロンですが、大きな批判を浴びながらもそれなりの参加者を集めており、一説では月商が1,000万円程度になっているとも聞かれます。

 


参加したわけではないので(金払ってまでリサーチしようとも思えないのでw)、告発記事等からの想像ですが

 

「今の会社でコツコツ働いて搾取されて、それで億ション買えんの?」

「時代はWebだよ、Webはフリーダムだよ、個人の発信だけで億稼げる時代だよ。それでもまだ東京で消耗してるの?」

M&Aって知ってる?さくっと会社作って会社売っ払えば、サラリーマンの生涯年収ぐらいすぐ稼げるんだよ?」

 

みたいな煽り方をして、“俺たち私たちはこうやって金を作った”というノウハウを受講者に伝授していくのでしょう。まあ、普通は成功しませんよ。Webマーケの世界もこの10年で大分勢力図は固まってきてますので、主催者達がドジョウを捕まえた頃とは競争環境も大きく変わっています。YouTuberの広告単価も下がり続けていますし、太陽光発電バブルの勃興と終焉をなぞるであろうことは、大方疑いないところでしょう。

 

 

何より、主催者達は(能力の使い方に問題があるが)ビジネスセンスは割と確かなものがあり、やると決めたらPDCAを回して、何が何でも目標を達成する人種であろうと思います。彼らだからインフルエンサーとして一定の地位を築けたのであって、サロンに参加したぐらいのワナビーフォロワーが同じようなポジションを築ける道理もありません。

 

それでも、撒き餌は必要なので、何人かの仕込み受講者は、(そうは言ってもそれなりのフォロワー数を誇る)主催者が鬼プッシュしたりして、それなりの有名人に仕立て上げられるのかもしれませんけどね。。。

 


★★★

 


まあ個人的には、こんなミエミエの釣り針に引っ掛かる人達は、何をどうやっても救えないので、「仕方ない」と思っていますから、殊更に主催者を糾弾しようとは思いません。しかし、なぜこういう人達が集まって来るのかについて思いを巡らせたときに、ただ単に「頭が悪いから」では片づけられない事情もあるのではないかとも思いました。

 

 

仮にそうだとすれば、筆者の発信によって、サロン受講生に限らず、破滅的な選択を行ってしまう前に一歩立ち止まれる方が一人でも増えることには、少なからぬ社会的意義があるだろうと思い、本稿に残しておこうと思った次第です。

 

 

 

 

筆者にとっては、心臓病の幼い子どもよりも、搾取の深淵に取り込まれていくダメな大人の方が一層可哀そうに思え、救いの手を差し伸べたい対象だったというところでしょうか。目に見えるところだけでも何とかしたい、というのは共通の想いかもしれませんね。

 



普段は合理的な人でも状況が変われば判断を誤る

 

 

結論から言うと、某サロンのようなものに普通の人がハマってゆく背景には、特定の環境とそれに伴う認知バイアスの存在があると考えています。当ブログで度々言及している認知バイアスですが、これは知能の良し悪しに関わらず、意識していないと誰でも陥り得る、人間の思考のクセのようなものです。

 


すでに支払った年会費に引きずられて時間のムダであるサロンから抜けられなかったり(コンコルド効果)、真面目に働くよりWebで稼ぐ方が簡単かもと思い始めていたら、サロンの情報を聞いてやっぱりそうだと腹落ちしたり(確証バイアス)、これらは概ね認知バイアスによって引き起こされます。

 


認知バイアスに共通しているのは、きちんと全ての情報をテーブルにおいて比較検討すれば正しい意思決定ができるはずの人でも、特定のシチュエーションにおいては、そのプロセスがすっぽり抜けてしまい、一足飛びに結論を出してしまうという行動様式です。

 

一説によると、この思考のショートカットは進化の過程で得られた特性らしいので、普通の人であればあるほど、強く囚われてしまうようです。また、これらのバイアスは1つ1つ独立して発症するのではなく、様々なバイアスが複合的に作用しあって意思決定に影響を与えてくるため、状況次第ではかなり厄介な存在となり得ます。

 

 

 

認知バイアスには「かかる時」と「かからない時」がある

 


認知バイアスは同じ人の同じ意思決定であっても、環境に大きく依存します。

 

例を出しましょう。

 

10万円を握りしめてカジノにやってきました。最初は様子見で数万円ずつ賭けていくでしょう。勝ったり負けたりを繰り返していると一回大当たりを出して、20万円になりました。

 

ディーラーはこう言います。

「お願い。あと一回勝負して欲しい。あなたが買ったときは賞金をこれまでの倍にするから、その20万全部賭けて欲しい」

 

確率的には期待値が倍になっているので、これまでよりも良い条件の賭けですが、多くの人はディーラーの要求には答えず、サヨナラするのではないでしょうか?

 


さて、同じく10万円を握りしめて勝負を始め、不幸にも負けを重ねて熱くなったあなたは、何と300万円の負けを作ってしまいました。ちょっと笑えない負けを喫しています。その時ディーラーが同じくこう言います「次の勝負に勝てば借金はチャラにしよう。但し、負けたら借金は3倍だ。やるかい?」

 


 

文字にすると少し現実感がないかもしれませんが、研究によると、ここまで追い込まれた時は20万円の勝負を避けた人でも分の悪いこの勝負を受けてしまいがちなんだそうです。人は小さな勝ちを得たときは、それを失うリスクを避けるようになる一方、大きな負けをした後はリスクの高いギャンブルに手を出すようになるFXでやられた時を思い出して、ハッとされた方もいるのではないでしょうか?

 

このように、状況次第で、慎重にリスクを見極める(過ぎる)こともあれば、割の悪いギャンブルに突っ込むこともあるのが、普通の人間なんです。

 


 

サロンに取り込まれるまでの経路

 

 

最後に、認知バイアスと環境がどう作用して某サロンに取り込まれていくのか、1つの仮説をお示ししましょう。筆者は、典型的なサロン参加者は次のような人達ではないかと考えています。

 

・学歴など様々な要因で就活に失敗
30代前後まで(主催者らより年下)
・東京カレンダーを愛読
・仮想通貨の話題には敏感

な男性で、

・(女性の場合は)加えて容姿があまり良くない

 

就活に失敗したことで、同世代の外銀・商社といったハイスペアイコンと比べ生活レベルの格差が明るみになり、悶々としている人達です。(自分で調べてはいないが)雑誌やWebを見ると副業で簡単に稼いでいる人達は結構いるっぽいなあ、本当のところどうなんだろう、などと思っています。女性の場合は、ハイスペ男子捕まえてゴールを決めるのも難しいスペックの方です。

 

 

さて、こういう人達はすでに人生において負けが込んでいますから、普通であれば取らないようなリスキーで投機的なポジションを取って一発逆転できる道、

脱サラしたり仮想通貨に手を出したり・・・、

ということがことのほか魅力的に映るバイアスがかかっています。

 


ここに、“具体的な成功事例”を“参加者だけに”教えてもらえるような情報を与えてもらうと、「やっぱり俺の思ってた通りだったんだ」とばかりに、バイアスが強化されていきます。

 

その後は、期待がハズれ損失が拡大し、更にリスキーな賭けにでながら人生の不遇をかこち続け、おそらく最終的にはコツコツ今の会社で努力を重ねるよりも悪い結果に落ち着くことになるのでしょう。何とも世知辛い現実がそこにあるのです。辛いです。(※あくまで個人の感想ですw)

 


余談ですが、主催者の1人は学生向けの就活講座なるものを運営しているのは偶然ではなく、かなり練られた戦略のもとに運営されている臭いを感じています。某リ〇ルートは、登録者が若いうちは転職先を紹介しながら、40歳を超えて転職市場で身動きとれなくなって来ると、今度はそのリストに対してFCオーナーへの転換(=起業)をぶつけて来ますが、その様な美しい導線の存在が見え隠れします。

 

 

★★★

 


さて、この件から得るべき教訓は、月並みですが負けてる時ほど「急がば回れ」ということなんでしょうね。小さな勝ちが出せている時の慎重さで検討していれば、回避できる類のバッドエンドは結構多いものです。

 

これは筆者自身よく言い聞かせていて、上手くいかない時やロスが出た時ほど、こういうバイアスによって、意思決定の質が落ちていないか、よく確認するようにしています。

 

しかし、認知バイアスはなかなかに強力で、しかも負けてるときほど更に悪い選択を誘発しがちな代物なので、資本主義世界での格差拡大に一役買っているのは間違いありません。残酷ですが仕方ありません。それが現実です。

 


とはいえ、バイアスの存在を知っているのといないのとでは大違いのハズ。

皆さんの勝負所で、当ブログが何かのお役に立つことがあれば、それは至上の悦びです。

そんじゃねー。



 

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プロフィール

alphalifehacker

Author:alphalifehacker
  
腐ったこの国を買い叩くためハゲタカ阿修羅道に足を踏み入れた、元PEファンドのファンドマネージャー。更にその前は商社マン。

「お金を稼ぐことはいけないことでしょうか?」

いいえ、お金に罪はありません。ありません、が、数々のビジネスを経験してきた筆者のたどり着いた1つ答えは、富裕層と呼ばれるまでの財を成した人は例外なく”ワルい”ことをしているということ。

社会の裏側・お金と人間の悲喜こもごもをこの目で見てきた筆者の体験をもとに、エコノミック不良(ワル)と無辜な庶民はどこが違うのか、実生活に役立つ形に解釈し直し、発信して参ります。

このサイトに来ると少し賢く生きることができるかもしれない、アルファライフハッカーのブログです。

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