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PEファンドを辞めたらどうなるの?

PEファンドでもヘッジファンドでも、スタープレーヤーの華々しい活躍は様々なメディアで騒がれるものです。しかし、言うまでもなく、業界の全ての人が成功を収めるなんてことはありません。

この種の話では、Survivorship Bias(生存バイアス)と言って、成功して脚光を浴びている者だけが表に出てくるため、上手くいった事例を過大評価する傾向を常に内在しています。

それだけに、探しても出てきにくい「PEファンドでキャリア・ポジションを築けなかった人のその後」という情報は相対的にバリューが高いのではないかと思いますので、本エントリーではその辺りについて、筆者の知る範囲でご紹介したいと思います。


1)PEから退出するのはどんな時か?


まず、PEファンド業界から足を洗う人というのはどういう類型があり得るでしょうか?
大きく分けて、

①担当した案件がシコッて引責
②ファンド自体が無くなった
③ガッツリ稼いでアーリーリタイア
④その他(家庭の事情、やりたい仕事が別に見つかった、etc.)

が考えられそうですが、筆者の知る限り多いのは①か③で、②はほとんど聞いたことがなく、④はたまにいる、という感じです。ただこれは、PE業界→別業界の場合の話で、この外側にPE→PEという動きもあり、これが業界の人の動きとしては最も多いはずです。

行く先 

感覚的には、業界そのものを辞めていく人は少数派です。近年ずっと日本のPEのAUM(運用総額)は拡大し続けているため、受け皿が十分に大きいという点も1つの側面として考えられますが、PE以上に条件の良い仕事というのがあまりないというのが、実態ではないかと思います。



2)PEを辞めた(辞めさせられた)人のその後

あまりサンプルは多くありませんが、筆者の友人・知人では以下のような人々が観察されています。

事例集 

スモールビジネスで独立(No.3,4,5,9,10)というのが一番多いように思います。筆者自身も広義ではこれに当たりますので、実感としてもよく分かります。
というのも、この仕事を経験すると、今更会社員に戻ろうというモチベーションは相当低下すると思うのです。PEの仕事は、仕事上の裁量がかなり大きいうえに、待遇面でも一般企業に比べれば十分恵まれているので、自由が制限されるうえに待遇も悪化する一般企業への就職は、あまり選択肢に入ることはないと考えています。

そして、思う様な結果が残せず退場となった方でも、実力というより運に恵まれなかったと解すべきで、基礎的なスペックは高いので自分1人食っていくぐらいなら、独立して如何様にもやりようがある、というのがPE業界の人材ファンダメンタルズではないかと考えています。

また、ヘッジファンドのようにそこ以外ではあまり使えない特殊スキルに過度に依っているわけではないので、ビジネス全般の広範なセンスや人脈が身に付くという点では、ある程度つぶしが効くのかもしれませんね。



3)プロ経営者になるパスは極めて限定的


意外と感じるかもしれませんが、会社をバイアウトして自ら主体的に経営に関与するのがPEの仕事でありながら、ファンドマネージャーがPEを辞めて、プロ経営者(含むファンド投資先の経営者)になるケースはほとんど聞いたことがありません。

PE投資の文脈で語られるファンドの経営関与とは、インセンティブの仕組み作りやファイナンスの効率化といったテクニカルな面が中心で、実際に会社の代表として経営をリードしてゆくのは、社内外から登用した経営人材なのです。従って、ファンドマネージャーがリーダーとしての素質が高いわけでは決してありません。

そして、プロ経営者のキャリアで評価されるのは、一定規模以上の人員を動かして結果を出した実績、すなわちリーダーシップの有無なので、PEファンドが行っているような経営関与は、プロ経営者としての評価項目においては、ほとんどプラスに働くことはないでしょう。

以上のような背景から、「PEで経営がやりたい」みたいな若者が面接に来ると、本当にそれがやりたいのだとしても、その為のステップにPEを選択するあたりにセンスの無さを感じてしまうわけです。

余談ですが、“本当にやりたいのだとしても”と述べたのは、「経営がやりたい」というPE志望の若者には、「資本家の立場で偉そうにしたい」という歪んだ欲望が動機になっていることが非常に多いと感じており、そういう輩はそもそもこの仕事に向いてないので、二重に地雷だなと感じるわけです。



★★★


こうしてみると、IBDや戦コンにありがちな、「あの人は今」みたいなフェードアウトの仕方をしてる人は意外と少ない気がします。また、IBDや戦コン、ヘッジファンドなどの仕事が基本的に景気変動に対して順張りであるのに対し、PEについては不景気のときほど投資機会が増すという逆張りの要素があることと、投資期間中(5年程度)はマネジメントフィーが安定していることから、職業的な安定性が高い点も魅力かもしれません。

なので、興味のある方はあまり後先考えずに飛び込んでみるのも良いんじゃないでしょうか。今は空前の採用バブルになっているので、悩んでいるヒマがあったらレジュメ送って面談に進んだ方が良いのかも。(※個人の感想です)

そんじゃねー。





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プロフィール

alphalifehacker

Author:alphalifehacker
  
腐ったこの国を買い叩くためハゲタカ阿修羅道に足を踏み入れた、元PEファンドのファンドマネージャー。更にその前は商社マン。

「お金を稼ぐことはいけないことでしょうか?」

いいえ、お金に罪はありません。ありません、が、数々のビジネスを経験してきた筆者のたどり着いた1つ答えは、富裕層と呼ばれるまでの財を成した人は例外なく”ワルい”ことをしているということ。

社会の裏側・お金と人間の悲喜こもごもをこの目で見てきた筆者の体験をもとに、エコノミック不良(ワル)と無辜な庶民はどこが違うのか、実生活に役立つ形に解釈し直し、発信して参ります。

このサイトに来ると少し賢く生きることができるかもしれない、アルファライフハッカーのブログです。

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