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分析!日本M&Aセンターの実力

上場企業屈指の平均年収を誇るも、M&A業界にいなければ中々その存在を知ることのない謎の企業、それが日本M&Aセンターです。もう何年も2桁増収を続けており、従業員数は300名程度ながら、その時価総額は6,000億円に迫るお化け企業です。

 


彼らの主業であるM&A仲介とは何かというと、会社を売りたい企業と買いたい企業をマッチングして、双方から手数料を取るモデルで、不動産仲介業者と非常によく似たビジネスです。

 


しかし、不動産と違ってM&Aの場合は、

 

ユーザー側に交渉の事実を知られたくないという意向が強く働くこと

不動産なら不動産屋に相談に行けますが、会社の場合はそもそもどこに相談に行くべきか、正解がないこと

 

などから、案件情報をキャッチすることが非常に困難で、売り手と買い手をマッチングすることのバリューは不動産より遥かに高いのです。

 


M&Aセンターの創業者は、元々会計事務所向けにシステムを売っていたそうです。その際に作ったオフラインの会計事務所ネットワークを使って、全国の有力会計事務所といち早く事業提携を行いました。更に続けて、地方金融機関とも同様の提携を行い、そのカバー率は今や90%にまで及んでいます。こうした特徴から、筆者は日本M&Aセンターは単なるM&Aブローカー集団ではなく、中小企業のM&A情報を一手に仕切るプラットフォーマーだと考えています。

 Network 

 

M&A情報は誰が持つのか?

 

 

M&Aセンターの分析によると、黒字の中小企業で、潜在的な事業承継ニーズを抱える企業が12万社存在するとされていますが、こういう人達のニーズ情報を持っているのは一体誰なのでしょうか?



中小企業庁の調査によると、そもそも半数近くの企業オーナーは誰にも相談していないようで(下記資料)、文字通り墓まで持って行っているようです。そして、残る半分の中では、相談相手としては顧問税理士が圧倒的となっており、金融機関もまずまずの位置につけています。注目すべきは、M&A仲介業者への相談率の低さで、実は彼ら自身では大して情報にアクセスできていないのです。


事業承継統計



なお、オーナーは誰に相談してもまずまず役に立つ回答が得られている一方、M&A仲介業者に相談したオーナーは、有意に満足度が低下しています。(仲介業者はフィーのために動くので、とにかくM&Aに持って行こうとするはずなので、当然と言えば当然か。そう考えると、相談したオーナーの半分以上が満足しているという結果は、むしろ高いと言えるのかもしれない。)

 


さて、税理士・会計士、金融機関、いずれもやろうと思えばM&A仲介業務も出来そうなのものですが、まず彼らはクライアント企業から相談が来ても、全国に散らばるマッチング相手を見つけることができません。そして、M&A仲介業は民法上無効とされている双方代理に該当する可能性もあり、コンプライアンスの観点からも課題が残ります。こうした点から、税理士や金融機関は非常に価値ある情報を持ちながら、構造的に宝の持ち腐れになっており、結果的に、価値ある情報を掴んでも自身でマネタイズすることができず、日本M&Aセンターに捌いてもらう他に道がないのです。

 

加えて、日本M&Aセンターは士業にはない、体育会営業力も持ち合わせます。センスあふれる営業マンが全国の中小企業を飛び回り、潜在的な買い手候補にいつでもアポが取れる関係を築いてあるので、持ち込まれた案件情報を 強引に 確実にクロージングまで持ってゆくこともできるのです。その実力については、下記のようなマンガみたいな武勇伝まで存在するぐらいです。


 

おそらく、ソリューションとしての提案の質が高いのは、本来的には税理士や金融機関の方だと思います。しかし、彼らは営業力とネットワークを持たないため、全国の売り手情報・買い手情報に直接アクセスできるM&Aセンターに付加価値の大部分を持っていかれているのが実情なのです。(ちなみに、税理士がM&Aセンターに案件を紹介し成約した場合、開示資料によると成功報酬の10%強が手数料として支払われているようなので、付加価値の9割は仲介業者側に流れている)

 


オフラインのネットワークが収益の源泉となっているビジネスは、ITによるゲームチェンジの影響を受けにくく、ネットワーク構築にかかる時間が参入障壁となるので、この競争優位性はそう易々と崩されるものではないと思われます。加えて、事業承継問題は人口動態を考えれば確実で、しばらくは高い収益性を維持したまま、強い成長が期待できると考えています。

 

実際、下図の通り、M&Aセンターの成約実績は毎期20%程度成長していますが、営業マン1人当たりの獲得報酬や、成約1件当たりの獲得報酬はずっと安定していますね。


分析MAセンター 


手の届く位置に生っている果物から取っていくと、収穫を増やせば増やすほど、より取りにくい位置にある果物を取っていく必要があります(収穫逓減の法則)ので、普通はこの規模の成長を続けていると、1人当たりの獲得収益は減少してゆきそうなものなのですが、その兆候が全くなく、濡れ手で粟の状態は続いています。


フロント営業マンの報酬は、獲得手数料の20%程度と言われているので、ざっと1520百万円が平均的な年収モデルだと想像されます。こうなって来ると、東京カレンダーで“M&A仲介なカレシ”という連載が組まれる日もそう遠くないんじゃないでしょうか。


そんじゃねー。




追記:そんな彼らも相手にしない超小規模の案件は、それこそ無数にあるはずで、そこの市場にスポットを当てると、また違った稼ぎ方があるのではないか、というのは過去エントリーの通り。


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alphalifehacker

Author:alphalifehacker
  
腐ったこの国を買い叩くためハゲタカ阿修羅道に足を踏み入れた、元PEファンドのファンドマネージャー。更にその前は商社マン。

「お金を稼ぐことはいけないことでしょうか?」

いいえ、お金に罪はありません。ありません、が、数々のビジネスを経験してきた筆者のたどり着いた1つ答えは、富裕層と呼ばれるまでの財を成した人は例外なく”ワルい”ことをしているということ。

社会の裏側・お金と人間の悲喜こもごもをこの目で見てきた筆者の体験をもとに、エコノミック不良(ワル)と無辜な庶民はどこが違うのか、実生活に役立つ形に解釈し直し、発信して参ります。

このサイトに来ると少し賢く生きることができるかもしれない、アルファライフハッカーのブログです。

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