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他所では聞けないPEファンドの報酬事情

PEファンドのキャリアとしての魅力は、何と言ってもその報酬体系だと思います。その当時筆者がなぜこの業界を選んだかといえば、何のコネもパトロンも持たないプロレタリアが資本家にクラスチェンジするためには、可能な限り早くにプロフィットシェアできる仕組みのある業界に行く必要があると考えたからだったように思います。

 

資本主義経済では、労働力は資本家に搾取される宿命を負っています。ほとんどの労働者は“一方的に資本家側が決めた”給与という固定された収入しか得られません。しかし、例外的に、一部の業種では稼いだ分の一定割合を契約で定められたレートで還元されることが認められています。

 

保険や住宅の歩合営業は最も分かりやすい例で、「4人合わせて年収8,000万円」とか夢のある話が転がっていますね。ただ、歩合営業はその代償として、固定給が極限まで削られているので、泳ぐのを止めると死んでしまうマグロ状態になりがち。ちょっと、ゆとりのある生活と呼ぶには違うんじゃないかと思い、却下。

 

他にも、資本家のエージェントたる(プロ)経営者は、パフォーマンスに応じて報酬が決定されることはある程度明示的になっている職業ではあるものの、相応の経験がないと、即ち、ある程度の年齢になっていないと、参入の余地がありません。人生の晩年になってやっとこ資本家に到達したのでは余りにも虚しいので、これも却下。

 

何といっても、資本家層になるために最も直截簡潔なのは起業です。こちらの難点は、レバレッジが効きにくいということでしょうか。卓越したパフォーマンスを出すためには、レバレッジが不可欠です。1人で動かせるリソース(資金や人)が多ければ多いほど、1人で稼げる額というのは多くなります。スタートアップの場合は、この点で非常に大きな制約があり、現実的には資金をあまり食わないITサービス関連ぐらいしか一歩目の選択肢がないところ、筆者は特にこの辺で専門性が高かったわけでもないので、こちらも無念の却下となりました。

 

PEの優れた点は、上述のオルタナティブのそれぞれの欠点が、いずれもそこそこ緩和されている点ではないでしょうか。プロフィットシェアという観点では、キャリードインタレストという制度があり、固定報酬はマネジメントフィーが結構入ります。20代でもエントリーは可能だし、動かせる資金には相当なレバレッジもかかります。そして何より、パフォーマンスは、エントリーで買値を間違えなければ無難なレベルでは達成できる蓋然性も高い。

 

 比較PE 

 

...ということで、全ての要求にボーダーラインを超えている、おススメなキャリアと言えるかもしれません。(もちろん、運ゲーの要素も多分にありますが。参考記事

 

 

★★★

 

では、PEの報酬体系は何が魅力なのか、簡単にご紹介したいと思います。

 

PEファンドのGP(運営会社)がキャッシュを獲得する方法は、大きく分けて2つあります。1つが、マネジメントフィーと呼ばれる投資家から毎年固定で徴収する手数料。もう1つが、キャリードインタレストと呼ばれるサクセスフィーで、投資リターンの一部を投資家から頂戴します。

 

 

マネジメントフィー

 

PEファンドは投資家から資金を募集し、5~10年かけて運用します。有名どころであれば、数百億円~数千億円規模で集まるのですが、マネジメントフィーは一般的に、集めた額の2%が投資期間に亘り固定的に支払われることが多いのです。

 

例えば、500億円のファンドを20人のファンドマネージャーで運用しているとしましょう。ファンドが存続している限り、500億円*2%10億円の報酬が毎年得られます。理論上はこれを全てスタッフの給与に充てても問題はないため、最大で50百万円の固定給与が発生するのです。(実際はそこまで極端なことはなくこの半分ぐらい)

 

このマネジメントフィーは、ファンドとしてリターンが上がろうが上がるまいが関係なく発生するので、この部分は確定利回りです。これだけで、日本エスリードのトップ営業マン達の報酬に並んでいますね(笑)

 

 

キャリードインタレスト

 

 

運用した資金からめでたくリターンが出た場合、その利益の一定割合をGPが成功報酬として受け取ることができます。成功報酬の発生基準はファンド契約によってまちまちですが(ディールバイディールのこともあれば、トータルリターンのこともある。また、フィーの発生にハードルレートを設けることもある)、一般的にはリターンの20%のことが多いです。(Two-Twenty Fee Structureという。マネジメントフィー2%、サクセスフィー20%

 

「すごい!500億円のファンドで2倍に増やしたら、500億円*20%100億円のボーナス。20人で分けたら15億円!!」

 

・・・と思うかもしれませんが、そうは問屋が卸しません。実はこれは、GP(運営会社)に入る報酬で、GPのステークホルダーはファンドマネージャーだけではないのです。普通の会社のようにGPにも株主がいますし、GPの経営陣もいます。

 

概念的には、GP株主やGP経営陣が取った残りがファンドマネージャー達に分配される報酬になるのですが、この辺はどこのファンドも非常に不透明です。インターナルの分配に関しては、規定が開示されるファームもありますが、規定そのものに分配比率は代表者の判断による(!)などと書いてある例が多いので、実はどこまで行っても不確定要素は残ります。

 

有名ファンドの有名人が独立して自分のファンドを立ち上げる裏には、だいたい血生臭いキャリー分配闘争があったと考えて差し支えありません。決して、日本企業の成長を支援したい()からでも、産業の活性化を支援したい()からでもありません。キャリーを独占するためです。

 

冒頭、PE投資でリターンを上げるのは比較的容易と述べましたが、投資というレベルでリターンを上げるのは確かにそうかもしれませんが、個人レベルまで還元されるかどうかは非常に微妙な問題になるので、キャリア選択の際はトップ層のキャラを十分見極める必要があると思います。(ま、みんなGreedyなので、比較することには何の意味もないかもねw)

 

★★★

 

 

今回のエントリーから得られる教訓は、適切な結果に対し適切なリターンを得るためには、結局、自分がオーナーになるしかないということ。世の中そんなに甘くありません。資本主義の女神は、起業家にだけ微笑むのです。

 

ここまで言えば、みんなが明日から取り組むべきことは明白ですね。そんじゃねー。

 

 

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alphalifehacker

Author:alphalifehacker
  
腐ったこの国を買い叩くためハゲタカ阿修羅道に足を踏み入れた、元PEファンドのファンドマネージャー。更にその前は商社マン。

「お金を稼ぐことはいけないことでしょうか?」

いいえ、お金に罪はありません。ありません、が、数々のビジネスを経験してきた筆者のたどり着いた1つ答えは、富裕層と呼ばれるまでの財を成した人は例外なく”ワルい”ことをしているということ。

社会の裏側・お金と人間の悲喜こもごもをこの目で見てきた筆者の体験をもとに、エコノミック不良(ワル)と無辜な庶民はどこが違うのか、実生活に役立つ形に解釈し直し、発信して参ります。

このサイトに来ると少し賢く生きることができるかもしれない、アルファライフハッカーのブログです。

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